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あるいは、職場の共有コンピュータのパスワードを、あなたしか知らなければ、欠勤中はその中のデータを誰も見ることができなくなります。
提出期限が目前に迫った企画書があれば、その作成は誰にお願いしたらいいでしょうか。
突然の欠勤というのは、いつ何時でもおこりえますが、新型インフルエンザの流行中はその確率がたいへんに高くなります。
しかも、普通の病気であれば、無理に出勤して少しでも仕事を片付けることができますが、新型インフルエンザを発病しているのに出勤すると、それは職場に大きな迷惑をかけることになるのです。
このような状況を想定し、日頃から一人の仕事を数人でカバーできる体制を作っておくことが大切です。
あなたが休んだら、誰がその代役を務めるかも事前に決めておきましょう。
また、仕事上の申し送り事項をノートなどに記載し、誰でも見られるようにしておくことも必要です。
こうした自分自身のプチBCPをぜひ作成してください。
職場対策をいつ発動するのか 職場対策の計画や運用にあたっては、健康面だけでなく経営面も含めた幅広い知識が必要になってきます。
このためには、健康管理スタッフだけでなく、経営責任者、危機管理担当者など幅広い人材を集め、総合的な対策を立案することが求められます。
職場には日頃から労働安全衛生委員会がありますが、その枠を超えた対策委員会を組織し、その委員長には経営責任者かそれに職場対策を発動すべし準ずる者が就任すべきです。
また委員会の事務局は人事総務関係の部署に置くのがいいでしょう。
この委員会に職場内での患者発生情報などを集中させるとともに、そこから職場対策の指示を発信していくことになります。
この委員会で作成した対策計画をいつ発動するかですが、感染予防対策や患者発生時の対策は計画が作成された段階で、すぐにでも発動してください。
すでに新型インフルエンザは発生しており、本格的な第二波の流行も目前に迫っているからです。
第二波の流行が拡大してくると、政府から流行状況が頻繁に報告されます。
こうした公式発表を職場の委員会は適宜人手し、分析してください。
二〇〇九年九月現在、厚生労働省は流行状況の指標として、全国四六〇〇ヵ所の指定医療機関(定点)から寄せられる患者数報告の集計を行っています。
この数値は都道府県ごとに集計され、国立感染症研究所のホームページ上に、警報や注意報という形式で毎週発表されます。
この警報の発表を受けたら人員計画がいつでも発動できるようにしてください。
また感染予防にあたっても時差通勤を導入するなど、さらに強力な対策を開始します。
実際の人員計画の発動は各職場の欠勤状況に応じて行います。
このためには、人事担当者が従業員の勤怠管理情報を頻繁にチェックすることが必要です。
職場対策の解除は、やぼり政府の発表を参考にするのがいいでしょう。
厚生労働省は流行がI段落すると警報や注意報を緩和しますが、この時期になったら職場対策も解除できるはずです。
今回の新型が同じような経過をたどるかは分かりませんが、とりあえずの目安として知っておいてください。
以上、新型インフルエンザ09への職場対策を解説してきましたが、第二波の拡大まであまり時間がないため、各職場では短時間のうちに対策を整備しなければなりません。
鳥インフルヘの対策は必要ないか 最後に、鳥インフルエンザへの対策について簡単にふれておきましょう。
この章の冒頭でも紹介したように、今回の新型が発生する前までは、大企業を中心に毒性の強い鳥インフルエンザウイルスの流行を想定した対策を作成してきました。
ところが、実際に流行したのは毒性が弱いウイルスだったので、対策の変更が必要になったわけです。
では、今までに作成した対策がムダになったのかというと、決してそうではありません。
これから先も鳥インフルエンザウイルスが流行する可能性は残されています。
ただし、それは何年か先のことで、現時点では新型インフルエンザ09の第二波対策に集中することが必要です。
そして、その流行が過ぎ去った後に、鳥インフルエンザの対策に戻っていただきたいと思います。
幸いにも今回の流行では、鳥インフルエンザのように大きな人的被害がおこらないと予想されます。
その観点からすれば、今回の流行は予行演習という見方もできます。
この流行の後、各職場では今回実施した対策についての評価を行い、そこから得られた情報を次の対策に活用するようにしてください。
本当の危機は鳥インフルエンザの流行かもしれませんから。
日本人一五〇〇万人の健康問題 国際化時代を迎えて日本人の海外渡航者数は近年急増しています。
海外に出国する日本人の数は年間一五〇〇万人を超えており、これは国民のI〇人に一人以上が海外に渡航している計算になります。
今や海外渡航は多くの国民が体験する冒険と言ってもいいでしょう。
筆者は日頃からこうした海外渡航者の健康対策にあたっていますが、最近は新型インフルエンザについての問い合わせがたいへんに多くなっています。
たとえば、流行期間中でも海外旅行に出かけて大丈夫か。
あるいは、海外にいる駐在員を帰国させたほうがいいのか。
そんな質問内容です。
海外では日本国内と新型インフルエンザの流行状況が大きく違ってきます。
また新型に感染した場合に診察を受けるシステムも国内とは異なります。
この結果、海外渡航者の新型対策は、国内のそれと別に考えていかなければなりません。
まず、海外渡航者の多い国での流行状況を簡単にふりかえってみましょう。
流行の震源地となったメキシコや米国での流行は一段落していますが、まだまだ患者の発生はみられます。
ヨーロッパに目をうつすと、英国では七月になり患者数が急増しましたが、八月になり減少傾向にあるようです。
このように北半球の国々では夏を迎えて流行が一時鎮静化していますが、秋からの本格的な第一」波の流行が予想されています。
南半球は六月から冬の季節を迎え流行が拡大しました。
日本人旅行者の多いオーストラリアでは、政府が確認しているだけで三万人以上の患者発生があります。
またサッカーのワールドカップ開催を来年にひかえた南アフリカでも、八月から患者数の急増がみられています。
しかし、南半球では八月末になり、ようやく流行のピークを越えたようです。
アジアの熱帯地域でも患者数の増加がみられています。
とくにタイヤインドなどでは八月になってからの流行拡大が顕著です。
また、アジアやアフリカには新型インフルエンザ対策が整備されていない国も少なくありませんが、今後、こうした国では燎原の火のように流行が拡大することが予想されます。
このように、新型インフルエンザの流行状況は国によって違います。
海外渡航者はまずこの点を認識していただきたいと思います。
海外で新型にかかると もう一つ、海外渡航者に知っていただきたいのが、新型インフルエンザ患者の診療システムが、国によって違う点です。
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